ESG

環境への取り組み

王子製鉄は「スクラップを最小のエネルギーで最高の製品に蘇らせる」との理念の基に、1999年には業界最先端技術である電気炉スクラップ予熱装置(MSP)導入や加熱炉の燃料転換(重油→LNG)を実施、2020年にはMSPをさらに進化させる大規模改造も実施してきました。
さらに直近では多サイズの平鋼では難しい製鋼ー圧延工程の直送率向上にも挑戦し、2022年には工場全体で対1998年で24%、対2013年では13%(CO2削減ベースで28%)のエネルギー改善を達成しました。
今後もDX技術活用等による一貫プロセスの最適化等、徹底した省エネ施策の追求により、カーボンニュートラルを目指していきます。

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王子製鉄の
カーボンニュートラルへの取り組みについて

当社は、地球温暖化防止の観点から、より一層のCO2削減・省エネルギーを目指し、
製造工程でのエネルギー効率改善や省エネ設備導入等、中長期的視野に立った環境対策
を推進し、「循環型社会」と「脱炭素社会」の構築に貢献していきます。

中長期CO2排出量削減目標

気候変動問題が国際社会全体の持続可能性を脅かすリスクになりつつある中、日本でも2050年カーボンニュートラル実現が宣言され、日本製鉄グループでは「カーボンニュートラルビジョン2050~ゼロカーボン・スチールへの挑戦」を掲げ、経営の最重要課題として取り組むことが経営方針となりました。日鉄グループの当社においても2030年にCO2排出量50%削減を達成(2013年度比)するとともに、2050年に向けた目標としてカーボンニュートラルの実現を目指します。

現行プロセスにおける
エネルギー使用量の推移

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当社は、これまで常に他社に先駆け、最先端の技術を導入し、業界トップレベルの省エネおよびCO2削減を達成してきました。
電気炉では、排ガス保有熱の高効率回収が可能な予熱装置Multi-stage Super Preheater(MSP)の導入にいち早く着手し、大幅な電力削減を達成しました。
また、圧延工程では加熱炉を2炉配置し製鋼ー圧延直結プロセスを構築することで大幅な排熱回収を達成、加熱炉にはエネルギー効率の高いリジェネバーナー(燃焼排ガス熱回収バーナー)などの省エネ設備の導入とさらに化石燃料ではCO2排出量の少ないLNGへの燃料転換を完了しました。
さらに、直近では製鋼ー圧延工程の直送率向上(熱塊率向上)、電気炉ヒートサイズアップなどに取り組み、1998年以降現行プロセスにおいて累計24%の大幅なエネルギー使用量削減を達成してきました。 今後も徹底した省エネ施策の追求により、省エネおよびCO2排出量削減に貢献していきます。

CO2排出量の推移と
カーボンニュートラルの実現

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  • ※1)原発停止により電力のCO2排出係数悪化
  • ※2)政府地球温暖化対策計画での目標値から設定

当社は、CO2排出量を対2013年度比で2025年度30%、2030年度50%削減し、2050年度にカーボンニュートラルを目指すという目標を掲げ、CO2排出量削減に取り組んでいます(電力のCO2排出係数による改善効果を含む)。
1998年以降、最先端技術の導入および各種省エネ活動等により、エネルギー使用量は低減しており、その結果CO2排出量も確実に低減しています。
今期2022年度のCO2排出係数を含む実削減率は対2013年度比28%に到達する見込みであり、確実に成果を挙げています。
今後も2050年度カーボンニュートラルを目指し、積極的に環境改善、省エネに取り組んでいきます。

CO2排出量削減ロードマップ

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当社はカーボンニュートラル達成に向けて施策別にCO2削減ターゲットを定め、ロードマップを策定しました。年率1%以上のエネルギー削減を目標に、徹底的な製造プロセス改善、DX技術導入による高効率化と省エネ推進、太陽光発電、燃料転換新技術などの脱炭素投資の積極的実行、また、これからさらに普及が進む再生可能エネルギーによるグリーン電力の使用拡大を進めます。当社はこれらの施策により、2050年のカーボンニュートラルに向け、着実に推進してまいります。

製造プロセスにおける
エネルギー効率の追求

当社はこれまで各種省エネ技術を開発・導入してきており、徹底したエネルギー効率向上に取り組んでいます。
その主な取り組みを紹介します。

スクラップ予熱装置(MSP)付き直流電気炉

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当社群馬工場の直流電気炉は溶解操業時の排熱を最大限活用しスクラップを予熱するMSP※システムにより電力使用量の大幅な削減を達成しています。(従来型電気炉に比較して17%の電力原単位を削減)
2020年には炉殻改造によるヒートサイズアップを行い、トータル23%の電力原単位改善を達成しています。


※MSP:Multi-stage Super Preheater(2層式スクラップ予熱装置)

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製鋼-圧延直結化(連続鋳造~圧延)

  • <製鋼-圧延生産タイミングの同期化による熱塊直送圧延率
    (HR率※)向上技術の確立>
  • 製鋼-圧延HR操業は、平鋼メーカーでは王子製鉄のみ
  • ①製鋼:圧延要求に合わせた生産体制の構築
  • ②圧延:熱塊直送優先操業とチャンスフリー圧延の実現、カリバーレス圧延技術の拡大(自動圧下・自動ガイドシステムによる非稼働時間短縮)
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当社群馬工場では、製鋼-圧延直結プロセスをベースとしたCC鋳片の熱塊直送(HR)操業を実施しており、製鋼-圧延の同期操業化によりさらなるHR率拡大を推進します。
圧延工程は多サイズ小ロット生産(月間600サイズ)のため、製鋼工程との同期化およびマッチングに課題がありましたが、圧延工程では自動圧下/自動ガイド設備とカリバーレス圧延技術の適用を拡大し、チャンスフリー圧延が実現できたことでHR優先操業技術を確立しました。
現在、HR率は46%まで拡大、加熱炉燃料原単位は32%の大幅な削減を達成しました。
今後は、二圧粗列増強による非稼働時間の短縮、製鋼-圧延一貫最適化システムの開発など HR率>50%を目標にさらなる改善を推進していきます。

 
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その他の省エネ施策実行状況

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当社群馬工場はエネルギー効率に優れる電気炉の導入、製鋼-圧延プロセスの直結化などによる抜本的な省エネ対策を進め、CO2削減に貢献してきました。
これらの取り組みに加え、各設備においてさらなるエネルギー効率向上を推進しています。
加熱炉、予熱装置の燃料を重油からLNGに燃料転換、高効率省エネ機器への更新、排熱回収および熱ロス低減、生産集約による効率化などに積極的に取り組み、CO2排出量を削減しています。
太陽光発電設備についてもすでに着工開始しており、順次拡大の予定です。
今後も、2050年カーボンニュートラルを目標に定め、目標達成に向けたロードマップに基づき着実に実行していきます。

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環境保全設備の導入

集塵装置や水処理施設などは常に世界最先端の設備を導入し、
澄んだ空気と清流を確保。緑豊かな自然環境の保全に努めております。

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    集塵装置
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    水処理施設

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ゼロエミッションの達成

「ゼロエミッション」の達成をめざし、2007年よりSA砕石の製造を開始。製造過程で発生する
スラグ(鋼滓(こうさい))※・スケールなどは全て商品化し、リサイクルを積極的に進めています。

※王子製鉄は、鐵鋼スラグ協会作成の「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」の主旨に則り、
「スラグ製品管理マニュアル」を整備・遵守し、スラグ製品の適正管理に努めております。

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土壌環境基準適合JIS規格相当品

スチームの力で優れた品質の安定性を実現。
王子製鉄の環境リサイクルから生まれたエコ砕石。

SA砕石は、鉄鋼生産プロセスで発生する副産物の鉄鋼スラグをリサイクルしてつくった
環境に優しい路盤材です。王子製鉄 群馬工場で製造・品質保証・出荷まで行っています。
鉄鋼スラグを砕石にするにあたって、
蒸気を用いて膨張安定化を図る蒸気エージング(Steam Aging)を導入。
極限まで水浸膨張比を低減し、従来のスラグ砕石の膨張問題を解消しました。
かぎりある天然資源の代替として、品質の優れたSA砕石は安心してご使用いただけます。

※SA砕石:Steam Agingの頭文字をとった王子製鉄の道路用鉄鋼スラグ製品

カタログPDFダウンロード

水浸膨張比低減
JIS規格の水浸膨張比1.0%以下を保証。

※道路用路盤材として要求される水浸膨張比≦1.0%を保証。

良好な締め固め性
RC砕石、天然砕石と比較して、締め固め性・修正CBR値とも優れています。
異物混入ゼロ
安心してご利用可能。
1.原料は副産物の鉄鋼スラグ

鉄鋼生産プロセスで発生する副産物の鉄鋼スラグを原料に利用します。

2.蒸気エージング(Steam Aging)で安定化

鉄鋼スラグ(還元スラグ)に強制的に蒸気を通し、事前に膨張を促進させ、品質の安定化を図ります。

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蒸気エージング設備

3.品質を厳しくチェック

水浸膨張比や粒度等を厳しくチェックし、安心してご利用いただけるよう、徹底した品質管理を行っています。水浸膨張比はJIS規格の1.0%以下を保証。

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膨張試験機:水浸膨張比を測定します。

4.SA砕石の完成

すぐれた品質のSA砕石が完成します。

導入実績

SA砕石は路盤材として豊富な実績を誇ります。

公共工事(県道)用途:下層路盤材(施工厚:約30cm)
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太陽光発電の基礎用途:太陽光発電の整地(露出のまま)
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公共駐車場用途:駐車場下路盤材
(SA砕石10cm敷き、均して転圧後舗装)
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民間駐車場用途:駐車場下路盤材
(SA砕石10cm敷き、均して転圧後舗装)
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地域への貢献

王鉄まつり

毎年9月、地域住民の方々を含め「王鉄まつり」を開催しています。ステージでは、本年の新入社員による出し物をはじめ、社内有志バンドの演奏やタレントショー、抽選会などを行い、開催しております。

地域住民の方々への感謝、お客様との懇親、従業員とその家族の慰労の場として、とても大事な催し物と考えています。近年では飲物を提供する場所を2カ所に分けることで、待ち時間の短縮を図り、来場者の方々により喜んでいただけるような改善を行い開催しています。

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家族工場見学会

群馬工場では「家族工場見学会」を実施しています。毎回多くの従業員のご家族にご参加いただき、工場内と展示場は大賑わいとなります。従業員の家族からは「工場の鉄づくりは迫力があって感動した」「工場内がとてもきれいで驚いた」「普段見られない家族の姿を見ることができてよかった。今晩の夕食はいつもより豪華にしてあげたい(笑)」などの声を頂いています。

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群馬クレインサンダーズのオフィシャルパートナーとして

当社は、プロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」(B.LEAGUE所属)のオフィシャルパートナーとしてチームの活動を応援することを通じ、地域に貢献しています。
「群馬クレインサンダーズ」は、地元、群馬県太田市をホームタウンとして「バスケで群馬を熱くする」を理念としてバスケットボールはもちろん、コートを離れた地域貢献でも積極的に活動しています。

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地域への貢献

当社は、日本製鉄文化財団の特別支援会員として同財団の活動を支援することにより、音楽文化の普及・発展に貢献しています。
同財団は、音楽ホール(紀尾井ホール:東京都千代田区)を運営し、音楽家の育成、演奏会の開催、優れた音楽活動に対する支援等を行っています。

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    ©三好英輔
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    ©ヒダキトモコ